はじめに
霧子がさん付けする物・さん付けしない物の基準については初期の頃から何度も研究されてきたが、ここにきて学会に新たな材料が投下された。それがシャニアニ劇場版3章の第7弾の5コマ漫画 「さん」である。
一応ネタバレだが普通に言うと、霧子がカレーを作る際に人参とじゃがいもに対してはさん付けだが、豚肉は呼び捨てなことに甜花ちゃんが突っ込み、それに対し霧子が「豚肉はもう….」と言い放ち、甜花ちゃんが「あうぅ……」となるという感じの内容である。
あくまでギミーくんの4コマなので公式設定にするかは微妙なところではあるが、いつもの4コマよりも監修の目が厳しいであろう劇場版で公開されたことから、設定的にも問題がないものと思われる。
そんなわけで今回の豚肉事件をきっかけに霧子のさん付けの基準について改めて考えていきたい。
さん付け・さん付けなしの基準
まずは霧子がさん付けする物、さん付けしない物、さん付けする場合としない場合がある物を一通りまとめてみた。
さん付けする |
植物 ユキノシタ、ゼラニウム、サボテン、ササリンドウ 虫 イモムシ、セミ 動物 猫、犬、うさぎ、猿、雉、小鳥、カモメ、クジラ、イルカ、メダカ、カタツムリ、カモシカ、キリン、ゾウ、シマウマ、トラ、ダチョウ、トナカイ、マーモット、マングース、オオカミ 食べ物 てんぷらのエビ、りんご、にんじん、じゃがいも、ハーブ(食用) 物体 風鈴 人物・ペット プロデューサー、咲耶、夏葉、はづき、社長、ピーちゃん、エンツォ、モンド、デカルト、サンタクロース、桃太郎、鬼 |
さん付けしない |
植物 落ち葉、芝 虫 蝶 細菌 バイキン 食べ物 豚肉、パン、ピザトースト、てんぷら、てんぷらうどん、煮干し、チップス、紅茶、コーヒー、おしるこ 物体 指輪、時計、軍手、ほうき、鉛筆、新聞紙、望遠鏡、ピアノ、ハーモニカ、帽子、ブランケット、テーブル、椅子、靴、カバン、包帯、救急箱、クリスマスツリー、ごみ 自然 風、雨、雪、土、地球、火星 人物 先生、赤ずきんちゃん、おばあさん(おばあさんさんとはならない)、おばあちゃん、おじいちゃん |
する場合としない場合がある |
植物 フクジュソウ 物体 接着剤、風船、カップ、ソファ、埃 事象 痛いの |
全てを網羅したわけではなく、霧子が出てくるコミュを適当に30分ぐらい見てまとめただけなので抜けや項目はもっとあると思われるが、これだけでもある程度の基準は読み取れるであろう。
植物に関しては事務所で育てているユキノシタ、ゼラニウム、サボテンはさん付け。また病院に生えているササリンドウもさん付けであるが、芝や落ち葉クラスまで行くとさすがに呼び捨てである。
フクジュソウは【琴・禽・空・華】の最初のコミュではまだつぼみだったのでさん付けではなかったが、芽吹いたと思われる最後のコミュではさん付けへと進化した。最初のコミュでは精神的に追い込まれていた時期だったのも影響しているかもしれない。
虫や動物に関しては基本的にはさん付けである。豚肉も肉塊になる前は豚さんと言われていたであろう。もし豚に関しては一貫して豚呼びでもそれはそれで喜ぶ人々がいるので問題ない。
今回の議題である食べ物に関しては意外にもさん付けのハードルが高く、調理や加工されてしまうとさん付けはほぼ絶望的である。一方で野菜や果物に関しては植物に分類されるためか基本的にさん付けされている。
物体に関しては基本的には呼び捨てであるが、特殊性や物語性がある状況の場合さん付けに変化する。わかりやすいところでは【夕・音・鳴・鳴】で「……接着剤……接着剤さんに……来てもらいましょう……」という途中でさん付けになった台詞がある。
プロデューサー愛用のカップが割れたため接着剤でくっ付けようという場面なのだが、普段は何気ない道具である接着剤がプロデューサーのカップを修理するという特殊な任務を負った途端にさん付けへと進化したのである。
人物に関しては恋鐘(19)が「恋鐘ちゃん」で咲耶(18)が「咲耶さん」なところから年齢ではなく雰囲気によるものが大きいと思われる。今後のコミュでルカちゃんと対面した時に何と呼ぶか注目である。呼び捨てだったらどうしよう。
役職に関してはプロデューサーさんのように基本的にさん付けされるが、先生さんのように変な日本語になる場合はやらない。霧子は賢いので。
また元から敬称がある赤ずきんちゃんなどは赤ずきんちゃんさんとはならないが、ピーちゃんに関してはピーちゃんさんとなっている。これはピーちゃんで一つの名前になっているからであろう。よってさかなクンに対してはさかなクンさんになるものと思われる。
「痛いの」に関してはプロデューサーが怪我した際に「痛いのさん……飛んでいけ……!」と言って包帯を巻いていたが、直後に「今はプロデューサーさんの痛いのが治ってくれたら」と呼び捨てであった。プロデューサーさんに仇をなす者は痛いのさんでも許さないという霧子の愛情を感じる。
初出が初期P-SRの【包・帯・組・曲】なのでまだキャラが確立していない初期特有のものかと思われたが、2022年の「かいぶつのうた」でも「痛いのさん」が出ているのでこれは一貫している。おそらくお手伝いしている病院で子どもたちを安心させるために「痛いのさん……飛んでいけ……!」をずっとやり続けているためさん付けが癖になっているのであろう。霧子……
高山基準
霧子が何にさん付けをするかに関しては明確にはされていないが、一応の基準が存在する。それが2周年のインタビューで高山Pによって示された高山基準である。
霧子が“さん”付けをする定義って、霧子が物語性を感じたかどうかという部分が大きいんです。たいていは、霧子の対話の対象になったかどうかというところですね。
ひとつわかりやすい例を出すとすると、ただ置いてあるリンゴはリンゴですけど、恋鐘が持ってきたリンゴで、それがピカピカに磨かれているリンゴだったら、霧子のなかでそれは“恋鐘ちゃんと旅してきたリンゴさん”になります。
物語性ってなんやねんと思われそうであるが、物体にさん付けする場合としない場合がある物が多いところから霧子にとっての物語性というものがいかなるものかが読み取れる。
わかりやすいところでは【君・空・我・空】で同じコミュ内で風船に対して「風船」と「お誕生会とかの楽しい風船さん」とニ種類の呼び方が存在する。
単に風船を見ただけでは「風船」だが、そこに「お誕生会とかの楽しい」という想像が加わることで物語性が生まれさん付けされるのである。高山基準で言うところの“恋鐘ちゃんと旅してきたリンゴさん”のケースに該当する。
またごみに関しては呼び捨てであるが、埃に関しては【窓・送・巡・歌】と2022年のクリスマスコミュでニ度もさん付けされていた。埃なのに。
そもそも埃という存在そのものがある程度の時間が経過して溜まっていくものなのでそこに物語性を感じやすいのであろう。実際のコミュもそんな内容であった。
一方で【午・燦・娘・娘】で古いソファを運ぶ際に出てきた埃に関しては呼び捨てであった。重いソファを運ぶという状況では普通に埃は邪魔なので敬意が持たれにくいのである。
豚肉がさん付けされるためには
今回呼び捨てにされた豚肉はどうすれば豚肉さんと呼ばれるようになるのか、それに関しては同じく原料が生物の食品なのにさん付けされているてんぷらのエビにヒントがあると思われる。
これは別に霧子が食べ物の値段でさん付けの有無を決めているわけではなく、霧子が食べる前にプロデューサーが「一生懸命、生きてたヤツだから。きっと!」と物語性をアピールしたことが影響していると思われる(食べにくい)。なので豚肉も霧子が食べる前に生前の姿をアピールすればさん付けされるかもしれない(食べにくい)。
またてんぷらのエビはフォルムがほぼ生前の姿そのものというのも影響していると思われる。豚もバラや肩ロースの姿ではなく、豚の頭だったら豚さんと呼ばれていたであろう。豚足だとやや微妙だろうか。アンティーカで沖縄旅行に行くコミュが求められる。
あとは霧子が生まれたばかり子豚を1年間育てて最終的に食べるドキュメンタリーに出演すれば、以降は全ての豚肉が豚肉さん呼びになるかと思われるが、プロデューサーがオファーを断るのでおそらく実現しないであろう。